うつで休職してから退職するまでの流れ|傷病手当金・退職代行・転職の順番

うつ・適応障害で休職している人にとって、「このまま辞めるのか」「治してから戻るのか」は重い問いです。判断を急ぐと回復が遅れ、放置すると経済不安がのしかかる——。

この記事では、休職 → 退職 → 転職の正しい順番と、各フェーズで使える制度(傷病手当金・退職代行・障害者雇用)を整理します。お金の不安を最小化しながら、回復に専念するためのロードマップです。

この記事の要点

  • 退職を急がず、まず傷病手当金で生活を確保するのが基本
  • 傷病手当金は退職後も継続受給できる(条件あり・最長1年6ヶ月)
  • 自分で退職を伝えるのが辛いなら退職代行が選択肢になる
  • 転職は回復してから。焦って動くと再発リスクが上がる
  • 障害者手帳を取得した場合、障がい者雇用枠という選択肢もある

1. 全体の流れ(最大1年6ヶ月のロードマップ)

[1] 心療内科受診・診断書取得
    ↓
[2] 休職開始(給与停止・傷病手当金スタート)
    ↓
[3] 治療・回復(数ヶ月〜1年)
    ↓
[4] 復職 or 退職を判断
    ↓ 退職を選んだ場合
[5] 退職手続き(自分で or 退職代行)
    ↓
[6] 退職後も傷病手当金を継続受給(条件付き)
    ↓
[7] 回復後、転職活動を開始

焦って [4] や [7] に飛ばないこと。お金の制度を最大限使って、時間をかけて回復する方が結果的に早く社会復帰できます。

2. ステップ①:心療内科受診と診断書

「これくらいで病院に行っていいのか」と思う必要はありません。眠れない・食欲がない・朝起きられない・涙が止まらない——どれか1つでも2週間以上続いたら受診の目安です。

診断書には「うつ病・適応障害により○ヶ月の休養を要する」と記載してもらいます。これが休職と傷病手当金申請の根拠になります。

「平日に病院に行く気力もない」状態なら、まずオンラインカウンセリングで話を聞いてもらうのも手です。

3. ステップ②:休職と傷病手当金

傷病手当金とは

病気・ケガで働けないときに健康保険から支給される給付金。会社員(健康保険加入者)なら原則使えます。

項目 内容
支給額 標準報酬日額の 約2/3(おおむね手取りの50〜60%)
支給期間 通算 1年6ヶ月
待機期間 連続3日休んだ後の4日目から
申請先 加入している健康保険組合(協会けんぽ等)

申請の流れ

  1. 主治医に「傷病手当金支給申請書」を記入してもらう
  2. 会社の人事に勤務状況欄を記入してもらう
  3. 健康保険組合に提出(自分で or 会社経由)
  4. 1ヶ月程度で初回振込

毎月申請が必要です。診断書とは別物なので注意。

4. ステップ③:休職中にやること・やらないこと

やること

  • 主治医の指示通りの休養・服薬・通院
  • 生活リズムの再構築(起床・食事・睡眠)
  • 散歩など軽い運動(医師許可後)
  • 自治体の障害福祉課で自立支援医療制度の確認(医療費1割負担に)

やらないこと

  • 仕事のメール・Slack を見る
  • 「早く戻らなきゃ」と焦る
  • 大きな決断(退職・転職・引っ越し・離婚)
  • 元気な時の自分と比較する

休職初期は「何もしないことが仕事」と割り切ってください。

5. ステップ④:復職か退職かの判断

主治医・産業医・人事と相談して決めます。判断基準:

状況 推奨
元の職場が原因(パワハラ・過重労働) 退職 or 配置転換
業務内容自体は合っていた 復職 → 慣らし勤務
復職後も再発を繰り返している 退職して環境を変える
主治医が「同じ環境に戻すのは難しい」と判断 退職

復職して再発する方がメンタルへのダメージは大きいことを覚えておいてください。

6. ステップ⑤:退職を伝える方法

自分で伝えられる場合

休職中は人事と直接やり取りできるため、メールか書面で退職の意思を伝えるだけで完結することが多いです。退職届は本サイトの退職届PDFメーカーで30秒で作れます。

自分で伝えるのが辛い場合

「会社のことを考えるだけで動悸がする」「人事の声を聞きたくない」状態なら、退職代行を使うのが合理的です。

うつ・適応障害の場合、会社との交渉(有給消化・残業代・休職延長交渉)が必要になるケースがあります。その場合は労働組合型ではなく弁護士による退職代行が確実です。

退職代行の種類別の違いは退職代行と弁護士退職代行の違いで解説しています。

7. ステップ⑥:退職後の傷病手当金(継続給付)

ここが最も重要です。退職しても傷病手当金は継続受給できます。

継続給付の条件

  1. 退職日まで連続1年以上、健康保険に加入していたこと
  2. 退職日に**実際に休んでいる(出勤していない)**こと
  3. 退職時に傷病手当金を受給中、または受給可能な状態であること

→ つまり「退職日に出勤・挨拶回りする」とNG。最終出社日と退職日は別にして、退職日は休んでください。

注意点

  • 失業保険との併給は不可(求職活動できる状態ではないため)
  • 失業保険は受給期間延長申請で最大4年まで先送りできる → 回復後にもらう
  • 退職後は健康保険の任意継続 or 国保のどちらかに加入

8. ステップ⑦:回復してから転職活動

回復の目安

  • 朝、決まった時間に起きられる
  • 1日6〜8時間の活動が継続できる
  • 図書館やカフェで過ごせる
  • 主治医から「就労可能」の判断

一般枠で転職する場合

20代で第二新卒・既卒扱いになる場合、ブランクや短期離職に理解があるエージェントが向いています。

障がい者雇用枠を検討する場合

精神障害者保健福祉手帳を取得した場合、障がい者雇用という選択肢があります。

  • 通院・服薬への配慮が前提
  • 残業少なめ・配慮された業務範囲
  • 給与は一般枠よりやや低い傾向
  • ただし長く働きやすい環境

身体障害だけでなく精神・発達障害も対応するエージェントを使うと、求人の幅が広がります。

9. お金のシミュレーション例

月給25万円(手取り20万円)・住民税2万円の人の場合:

期間 収入 支出
休職中(最大1年6ヶ月) 傷病手当金 約13万円/月 健康保険・住民税・生活費
退職後の継続給付 傷病手当金 約13万円/月(残期間分) 国保・住民税・生活費
給付終了後 失業保険 約12万円/月(給付期間延長後) 国保・住民税・生活費

→ 制度を最大限使えば、退職後でも約2年は最低限の生活が保証されます。「お金がないから無理して働く」を避けるための知識です。

詳しくは退職後の社会保険手続き完全チェックリストも参照。

まとめ:順番を間違えなければ、回復は必ずできる

うつからの社会復帰で最大の落とし穴は、焦って次に飛ぶことです。

  1. まず病院・診断書
  2. 休職して傷病手当金で生活確保
  3. 回復に専念(数ヶ月〜1年)
  4. 復職 or 退職を判断
  5. 退職の場合、自分で or 退職代行
  6. 退職後も傷病手当金を継続受給
  7. 回復してから転職活動

この順番さえ守れば、お金の心配を最小化しながら立て直せます。一人で抱え込まないこと、専門家を頼ること、制度を使い倒すこと。これが回復への最短ルートです。

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